LINEの「一括既読」が迷子になった理由を構造的に分析する

はじめに

LINEのアップデート後、「一括既読はどこに行ったのか?」と困惑した方は多いはずです。
私自身も探し回った末、ようやく「トークリスト編集」の奥底に隠されているのを見つけ出しました。

これは単なるユーザーの慣れの問題ではなく、UI(ユーザーインターフェース)設計そのものが構造的な課題を抱えていると考えられます。
本記事では、なぜ一括既読が“迷子”になってしまったのか、その要因を構造的に分析します。


1. 文脈(Context)と機能分類の不一致

本来、一括既読は「溜まった未読情報を処理する」ためのアクションです。ユーザーはトーク一覧で未読バッジを確認しながら、その場で処理したいという動機を持っています。

しかし、現在の導線は以下の通りです。

トーク一覧 > 右上メニュー > トークリスト編集 > 一括既読

ここで最大の論理的破綻は、「編集」というカテゴリに「既読処理」を混在させた点にあります。

  • 編集(構造変更): 並び替え、ピン留め、削除など。リストの枠組みを操作する場所。
  • 既読(状態変更): メッセージの既読化。コンテンツの内容(状態)を操作するアクション。

この性質の異なる二つの操作を一つにまとめたことが、ユーザーの直感的な発見を妨げる要因となっています。

2. 階層の深化による「発見性」の喪失

以前のUIでは、トーク一覧の右上にボタンが配置されており、「未読を消したい → 目につく場所にある」という自然な視線誘導が成立していました。

現在は「トーク一覧 > ホーム(メニュー) > 編集」と、アクション完了までのクリック数(階層)が無駄に増えています。
UXの基本原則は「ユーザーが必要とする瞬間に、必要な機能を提示すること」ですが、今回の変更はその逆、すなわち機能の「隔離」に近い状態です。

3. 変更のベネフィットが説明されていない

UIの変更には、本来「利便性の向上」や「安全性の確保」といったポジティブな理由が必要です。しかし、今回の配置変更についてはユーザー側への合理的な説明が不足しています。

何の説明もなく慣れ親しんだ導線が断絶された結果、ユーザーは「不便になった」というネガティブな体験だけが強調され、アプリへの不信感へと繋がってしまいます。

4. 考察:なぜこのような設計になったのか?

推測の域を出ませんが、構造的な観点からLINE側の意図を分析すると、以下の3点が考えられます。

① 右上メニューの飽和(機能過多)

多機能化が進むLINEにおいて、トップ画面の右上エリアは「広告」「サービス一覧」「設定」などで飽和状態にあります。整理のために「編集」という器へ無理やり押し込んだ可能性があります。

② 「既読プレッシャー」への配慮(の履き違え)

LINEは以前から「既読回避」のニーズを意識しています。一括既読をあえて目立たなくさせることで、慎重な操作を促す意図があったのかもしれません。しかし、それは利便性を損なう「雑な隠蔽」に映ってしまいます。

③ 他タブへの回遊率向上

トーク一覧をあえてシンプルに(あるいは使いづらく)し、VOOMやニュースといった他タブへの関心を向けさせたいというプラットフォーム側の都合が優先された可能性も否定できません。


結論:UXの基本原則を欠いた“悪い変更”の典型例

今回の一括既読の移動は、以下のUX原則を同時に損なっています。

  • 文脈と分類の一致: 操作の目的と場所が合っていない。
  • 発見性の維持: 頻用する機能が深い階層に埋もれている。
  • ユーザー行動の尊重: 従来の習慣を無視した導線設計。

「なぜこんなことをするのか?」というユーザーの疑問は、設計の不備を突いた正当な反応と言えるでしょう。

おわりに

UI変更は、ユーザーが長年築き上げた「習慣」を破壊する行為です。
だからこそ、変更の必然性を説明し、ユーザーが自然に辿り着ける「新しい地図」を提示しなければなりません。

どれほど機能が豊富でも、ユーザーが迷子になるUIは、アプリ全体の価値を下げてしまいます。今回の一件は、提供者側の都合がユーザーの使い勝手を追い越してしまった象徴的な事例と言えるかもしれません。

ではではよきアプリライフを!





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