はじめに
『VIVANT』シーズン2、やっぱり面白い。
野崎の行動、新庄の生死、シンシーの存在、そしてジャミーンを巡る謎。少しずつ情報が開示されてきたが、見れば見るほど気になってくることがある。
今シーズンの物語の「本当の核」は何なのだろう?
シーズン1には「テントとの戦い」という分かりやすい構図があり、その中心には乃木憂助と父・ベキという非常に太い人間ドラマがあった。
それと比べると、現時点で見えている「別班 vs シンシー」だけでは、正直ちょっと細い。
しかし、これはまだ入口なのではないか。
ここまで散りばめられた要素を繋いでみると、シーズン2は最終的に乃木自身と別班、さらには「国家とは何なのか」というところまで踏み込む物語になるのではないかと思えてきた。
野崎の「裏切り」は、あえて予想通りだった?
まず野崎。
怪しい動きを見せた時点で、「本当に裏切ったのか?」と思わせる展開だった。
ところが『VIVANT』をシーズン1から見てきた視聴者なら、
「いや、どうせ潜入でしょ」
と思った人も多かったのではないだろうか。
そして案の定、そうだった。
普通なら「やっぱりか」で終わるところだが、これはむしろ制作側が意図的にやっているようにも感じる。
シーズン1を経験した視聴者は、すでに『VIVANT』の文法を知っている。
「裏切ったように見える人物は実は裏切っていない」
「死んだように見える人物も、本当に死んだとは限らない」
「乃木は視聴者が思っているより何手も先を読んでいる」
こちらも学習済みなのだ。
だからシーズン2では、その「どうせこうなんでしょ?」という視聴者の慣れそのものを利用しているのではないか。
野崎については、あえて予想通りにする。
視聴者に、
「ほら、やっぱりね」
と思わせる。
そうやって安心させておいて、本当に予定調和を壊すカードは別のところに隠している。
そんな気がしてならない。
新庄は……さすがに生きているでしょう(笑)
そして新庄。
これも個人的には、もう「生きているか死んでいるか」というより、
「いつ、どんな立場で再登場するのか」
という目で見てしまっている(笑)。
これも『VIVANT』を知ってしまった視聴者ならではの見方だ。
さらに言えば、ベキについても同じ。
シーズン1の終わり方を考えれば、ベキの生死にはまだ含みがある。
野崎はどうせ潜入。
新庄はどうせ生きている。
ベキもひょっとしたら生きている。
乃木はどうせ全部分かっている。
こうして並べてみると、我々視聴者は完全に『VIVANT』に調教されてしまっている(笑)。
だからこそ、シーズン2の本当の見どころは、
「この予定調和をどこで壊してくるのか」
なのかもしれない。
ジャミーンが再び物語の中心に来た意味
そこで重要になってきそうなのがジャミーンだ。
今回、ジャミーンとシンシーとの間に重要な繋がりが見えてきた。
そうなると、シーズン1からジャミーンが特別な存在として描かれてきた意味まで変わってくる。
ジャミーンは単に「乃木たちが助けた少女」ではなかったのではないか。
もしシーズン2の事件の根本にジャミーンの出生や過去が関係しているのなら、物語そのものがシーズン1まで遡ることになる。
これはかなり面白い。
シーズン2だけの新しい敵を登場させて戦うのではなく、
「実はシーズン1の時点ですでにシーズン2の物語は始まっていた」
という構造にできるからだ。
そしてジャミーンが重要になればなるほど、もう一人、どうしても気になる人物が出てくる。
柚木薫だ。
今のところ薫の存在感が妙に薄い
二階堂ふみ演じる薫は、シーズン1ではかなり重要な人物だった。
ところがシーズン2では、今のところ驚くほど存在感が薄い。
もちろんジャミーンと一緒に暮らしているという重要な役割はある。
だが、二階堂ふみというキャスティングまで考えると、
本当にそれだけなのだろうか?
と思ってしまう。
むしろジャミーンの重要性が増したことで、薫の存在まで急に怪しく見えてきた。
なぜ薫はジャミーンのそばにいるのか。
単なる保護者なのか。
それとも――
ジャミーンを守るために配置された「護衛」なのではないか。
もしそうだとしたら、さらに重要な疑問が生まれる。
「誰から守っているのか」ではない。
「誰の命令で守っているのか」だ。
薫が別班でも公安でもない可能性
薫が何らかの任務を持っていると仮定すると、いくつかの可能性が考えられる。
別班側の人間。
公安側の人間。
あるいはシンシーに関係する人物。
しかし、一番面白いのは別の可能性だ。
薫はベキ側の人間なのではないか。
もしベキがジャミーンの正体を以前から知っていて、何らかの理由で彼女を守ろうとしていたとしたら?
そのために薫がジャミーンのそばにいるのだとしたら?
そうなると、
ベキ → ジャミーン → 薫 → 乃木 → シンシー
という線が一本に繋がる。
しかもベキが生きていた場合、この構図はさらに面白くなる。
シーズン2で突然現れたシンシーという敵と戦う物語ではなく、シーズン1のベキからずっと続いていた巨大な物語だったことになるからだ。
シーズン1の核は「父と息子」だった
ここで改めてシーズン1を考える。
表面的には、
別班 vs テント
という物語だった。
しかし本当の核は、
乃木憂助 vs 父・ベキ
だったと思う。
さらにその奥には、
「国家を守る息子」
と
「国家に見捨てられた父」
という対立があった。
だからスケールの大きな国際的サスペンスでありながら、最後には非常に個人的な「父と息子」の物語へ収束した。
これがシーズン1の強さだった。
一方、シーズン2が単純に、
別班 vs シンシー
だけで終わってしまったらどうだろう。
個人的には、シーズン1よりかなり弱く感じる。
だからこそ、まだ本当のテーマは隠されているのではないかと思う。
シーズン2は「乃木 vs 国家」になる?
そこで一つの仮説が浮かんでくる。
シーズン1で乃木は、ベキを通して「国家に見捨てられた人間」を目の当たりにした。
それでも乃木は別班員として国家側に立った。
しかし、あれだけの経験をした乃木が、本当に以前とまったく同じ気持ちで別班員を続けられるのだろうか。
ベキがなぜ国家を捨てたのか。
テントがなぜ生まれたのか。
乃木はその理由を誰よりも理解してしまった。
だとすればシーズン2では、
「別班の正義=国家の正義なのか?」
という疑問に乃木自身が直面するのではないか。
シーズン1が、
「父親と国家、どちらを選ぶのか」
という物語だったとすれば、
シーズン2は、
「そもそも自分が信じてきた国家は正しいのか」
という物語になる。
これならシーズン1に負けないくらい太い。
まさかの「乃木がテントを継ぐ」超展開?
ここからはかなり大胆な妄想だ(笑)。
もしベキが生きていたら。
そして乃木が、別班あるいは国家のやり方に決定的な疑問を持ったら。
最終的に乃木が、
ベキの思想を継承する
という展開もあり得るのではないか。
もちろん「乃木がテロ組織のボスになる」という単純な話ではない。
テントが持っていた「国家から見捨てられた人間を救う」という部分だけを乃木が受け継ぐ。
国家にも犯罪組織にも完全には属さない。
自分自身の正義で動く。
そうなれば乃木は、別班員でありながら徐々に父・ベキと同じ場所へ近づいていくことになる。
これならシリーズ全体を貫くテーマにもできる。
シーズン1。
「なぜ父は国家を捨てたのか」
シーズン2。
「父の気持ちが分かってしまった」
そして、もしシーズン3があるなら、
「気がつけば自分も父と同じ場所に立っていた」
ここまでやったら凄い。
ただし乃木が本当に離脱すると続編が難しい
とはいえ、乃木が完全に別班を辞めてテントを継承してしまうと、その後のシリーズ展開はかなり難しくなる。
そこでありそうなのが、
表向きは別班員のまま、精神的には国家から独立する
という落としどころだ。
命令されたから戦うのではない。
自分で正しいと思ったものを守る。
そういう乃木になれば、続編も作れる。
むしろ将来的には、
別班 vs 乃木
という、とんでもない構図まで可能になる。
黒須たちから見れば、
「乃木さん、それ以上は別班として認められません」
という状況だ。
これは見てみたい。
予定調和を壊すなら「乃木にも分からなかった」が一番効く
そしてシーズン2最大の仕掛けとして個人的に期待しているのが、
乃木自身の読みが外れること
だ。
シーズン1では、
「実は乃木は全部分かっていました」
という展開が大きな快感になっていた。
しかしシーズン2でも同じことを繰り返せば、さすがに視聴者も慣れてしまう。
だから一度、
乃木にも分からなかった。
をやってほしい。
その役として最も効果的なのが、実は薫なのではないかと思う。
乃木が最も警戒していない。
最も近い場所にいる。
そしてジャミーンのそばにもいる。
もし薫に乃木の知らない裏の顔があったとしたら。
しかも敵ではなく、ずっと別の目的でジャミーンを守っていたとしたら。
これはかなり効く。
野崎の裏切りよりも、新庄の生存よりも、ずっと大きな驚きになる。
「シンシー vs 別班」はまだ前半戦なのでは
ここまで考えると、今見えている「シンシー vs 別班」は、シーズン2全体の本当のテーマではない気がしてくる。
シンシーは入口。
ジャミーンの正体も入口。
本当に描こうとしているのは、
ベキが残したもの
そして、
それを知った乃木が何を選ぶのか
なのではないか。
もし後半でベキ、ジャミーン、薫、シンシー、そして別班が一本の線に繋がったら、シーズン1とシーズン2は完全に一つの物語になる。
そして最後に乃木が、
「国家を守る別班員」から「自分自身の正義で動く人間」へ変わる。
そこまで行ったら、『VIVANT』というドラマはさらに一段面白くなると思う。
野崎について「やっぱりね」と思わせたのも、もしかすると制作側の計算通り。
我々視聴者が、
「もう『VIVANT』のパターンは分かった」
と思った瞬間こそ危ない。
本当の隠し玉は、まだ出ていない。
今シーズンは話数もまだ残っている。
さて、どこでこの「予定調和」をぶっ壊してくるのか。
それを楽しみに、もう少し制作側に騙されてみようと思う。





















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